ボイジャー1号が星間空間でプラズマ波を検出 打ち上げから40年を越えての偉業
0510_voyager(Credit:NASA/JPL)

【▲ 星間空間を航行するボイジャー1号の想像図(Credit:NASA/JPL)】

NASAの宇宙探査機ボイジャー1号Voyager 1)は197795日に打ち上げられ、地球から最も遠くに到達した人工物ですが、いまも機能しており、無限の彼方に向かって航行を続けています(ちなみにボイジャー2号はボイジャー1号の16日前1977年8月20日に打ち上げられています)。

ボイジャー1号は苦労の末、太陽系の端を過ぎ、太陽系と星間空間の境界である「ヘリオポーズ」heliopause)を経て、星間空間へと突入しました。

関連:【解説】ボイジャーが到達した星間空間との境界とは

2021年5月10日に「Nature Astronomy」誌で発表されたコーネル大学主導の研究によると、現在、その観測装置は星間ガス(プラズマ波)の「かすかで持続的な低音」を検出しています。

140億マイル(約225億km以上離れた場所から送信されてきたデータを調べた結果、星間ガスの放出が確認されました。コーネル大学の天文学博士課程の学生であるStella Koch Ocker氏は「それは狭い周波数帯域にあるので、非常にかすかで単調です」と語っています。

さらにOcker氏は、この研究により、星間物質が太陽風とどのように相互作用するのか、また、太陽系の保護膜である太陽圏が星間環境によってどのように形成され、変化するのかを理解することができると語っています。

1977年9月に打ち上げられたボイジャー1号は、1979年に木星、1980年末に土星の近傍を通過、20128月にはヘリオポーズを越えました。

星間空間に入った後、宇宙船のプラズマ波観測装置は太陽によって引き起こされる星間物質(ガス)の揺れを検出しました。しかし、研究者たちは、急激な変化の合間に、真空に近い宇宙空間で生成される安定した持続的な信号も発見しました。

今回の論文のシニアオーサーを務めたコーネル大学のJames Cordes教授(天文学)は「星間物質は、静かな、あるいは穏やかな雨のようなもの」であり「太陽のアウトバースト(急激な増光現象)が起きると、雷雨中に急激に光が増加した時のようになり、その後また穏やかな雨に戻る」と語っています。

Ocker氏は、星間ガスにはこれまで考えられていたよりも多くの低レベルの活動があると考えており、この研究により、太陽フレアの影響を受けていない状態でのプラズマの空間分布を追跡することができるとしています。

コーネル大学の研究員であるShami Chatterjee氏は、星間空間の密度を継続的に追跡することがいかに重要であるかを説明しています。

「これまで評価する機会がありませんでしたが、星間プラズマを測定するのに太陽による偶然の出来事は必要ないことがわかりました。太陽が何をしているかに関わらず、ボイジャーは詳細な情報を送ってきます。ボイジャーは“今、私が泳いでいる星間の密度はこれだ”と言っているのです。ボイジャーはかなり遠くにいるので、この作業は継続的に行うことになります」

【▲ ボイジャー1号が撮影した「ペイル・ブルー・ドット」の30周年を記念した再処理画像。画像中央に見られる白いドットが60億km離れた地球(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

ボイジャー1号は、コーネル大学の故カール・セーガンCarl Sagan1934 – 1996)教授が議長を務めた委員会によって作成されたゴールデンレコードGolden Record:異星人に向けた電子的メッセージ)と、1970年代半ばの技術を携えて地球を後にしました。

「この研究は科学的にも非常に優れたものであり、ボイジャー宇宙船の素晴らしさを証明するものでもあります。これはサイエンス(科学)へのエンジニアリング(工学)からの贈り物であり、これからも与え続けられます」とOcker氏は語っています。

 

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Image Credit: NASA/JPL
Source: Cornell UniversityCNN
文/吉田哲郎

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